国際結婚と永住ビサ
国際結婚の最後の、最大の難関、永住ビザの申請について説明します。
なぜ難関か、というと、現在「永住申請」の許可率は約3割~4割と言われています。つまり半分以上の永住許可申請が、通らないということです。
法務省と出入国在留管理局は、約一年をかけて、彼の全ての日本における素行に、引っかかる点がないかをチェックします。そして、全てをクリアーできた人だけが、永住許可が与えられることになります。
これから、結婚ビザから、永住ビザに申請するときの、必要書類等を説明します。
丁寧に全ての書類を集めて、提出しましょう。
(永住は全ての書類が集まって当然、とされる申請です。その上で申請に有利な書類提出をしていかないと、永住許可の3割の壁は破れません)
永住ビザを申請できる条件とは?
誰もが、永住ビザを申請できるわけではありません。
結婚ビザ(「日本人の配偶者等」の在留資格)を持っている人の場合
- 実態を伴った婚姻生活が3年以上続いている
- 引き続き1年以上日本に在留している
- 在留期間が3年以上の在留カードである
この3つの条件を、すべて満たしている必要があります。
その上で、あと、3つの要件を満たしていることが必要です。
- 素行が善良である(日本の法令に違反し、懲役、禁固、罰金に処せられたことがない)
- 独立生計要件(世帯で安定して暮らしていけるだけの収入がある)
- 国益要件(住民税等の納税義務、社会保険、年金加入)
永住ビザを申請する前に、気を付けてほしいこと
永住ビザだけは、結婚ビザの期間中に重ねて申請します。
永住ビザの審査期間だからといって、 日本人の配偶者等のビザが切れてしまわないように、くれぐれも注意してください。
ビザ申請時に提出する書類一覧
【申請人】
【身元保証人(=日本人配偶者)】
【持ち物】
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詳しくは、こちらの法務省HPをご参照ください。
見慣れない書類が出てきたと思いますので、解説しますね。
理由書
「今まで、どのような形で夫婦として歩んできたか?」「なぜ、永住許可が必要なのか?」などを、理由書としてまとめて書いて提出します。(型式は自由ですが、行政書士なりの書き方はあります)
書いた日付と署名を忘れずに・・・。
課税証明書、納税証明書(直近5年分)
及び住民税の領収書の写し(特別徴取ではない場合)
申請人又は配偶者の、課税証明書と納税証明書の5年分です。もし、外国人が5年もいなければ、今提出できるものすべてで大丈夫です。
また、区役所により、3年分しか保管しないところなどもありますので、その場合は、その旨を理由書に書いておきましょう。
また、住民税が会社引き落とし(特別徴取)でない場合は、領収書の写しも必要です。期限内にきちんと納付されているか、確認するためです。
永住許可の目安として、給与収入として300万円3年が、最低基準と言われています。
大丈夫かな?
直近(過去3年分)の納税状況を証明する書類(納税証明書その3)
住居地を管轄する税務署に、納税証明書その3を請求します。その際の記載内容は、源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興等別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税。
全てに未納がないように、証明書を発行してもらってくださいね。
ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面(厚生年金の場合)
及び国民年金保険料領収書の写し(国民年金の場合)
厚生年金に加入している場合は、ねんきんネットにアクセスして「各月の年金記録」の画面を印刷して提出します。
ねんきんネットにアクセスするためには、「年金番号」と「アクセスキー」が必要で、その為にはユーザーIDの発行を申し込みます。
手続が少し煩雑で時間がかかるので、少し早めにやっておくといいでしょう。
また、国民年金保険料を支払っている場合は、領収書の写しも添付します。支払期日を守っているかを、確認するためです。
健康保険被保険者証の写し(健康保険に加入している場合)
又は、国民健康保険料納付証明書+領収書写し(国民健康保険の場合)
会社で健康保険に加入している場合は、健康保険被保険者証(健康保険のカードですね)のコピーを提出します。
国民健康保険の場合は、保険証の写し、納付証明書、領収書の写し(過去2年分の全て)を提出します。
預貯金通帳の写し
不動産登記事項全部証明書(あれば)
えっと、いくらあればいけますか?と、よく聞かれます。
いくらという基準は、公表されていません。しかしながら、よくあるのが、いきなり友人たちからお金をかき集めて、ごく短期間にある程度の金額になっているもの。
この方が、よほど不自然で怪しい・・・です。
申請日を見据えて、少しずつ貯めていった経緯が分かるものが、一番ですね。
上記の書類が、基本書類です。
基本書類を揃えるだけで、相当の時間と手間がかかります。特に、税金や年金や保険を自分で支払っていた場合は、添付資料がものすごくなります・・・(泣)
ここに、審査で有利に判断される書類や、自分達でこれは審査してほしいということがあれば、重ねて提出します。
通常の申請は、添付書類を自分で集めてもらうことが多いですが、永住の申請だけは、上記の書類収集から受任することが多いです。やり方を丁寧に説明しても、なかなか分かりづらくて大変なので・・・。
審査期間は、早くて半年、長ければ1年以上かかります。忘れたころにやってくる、という感じですね。
まとめ
永住許可の申請一式は、今までの自分たちの誠実さや、丁寧さが問われる申請です。きちんと期限内に、しっかり税金や年金や保険を支払ってきたか、いままでどこでどうやって生活してきたのか、将来は、どうなりたいのか??
その全てを審査して、許可と不許可が決まります。ゆえに、直前だけ何とか誤魔化す、というような手段を取ることが出来ません。
永住は3割しか許可が出ない、高いハードルだからこそ、しっかりと戦略を立てて、丁寧に申請するように心がけています。そして、万が一、7割の方に入ってしまったとしても、そこから挽回するすべが出来るように、誠実な申請をすることも大切なことです。