不法滞在と国際結婚

退去強制令書の発布と、上陸拒否期間の短縮許可申請

退去強制令書の発布と、上陸拒否期間の短縮許可申請について

 

退去強制令書と再審情願、行政事件訴訟について

退去強制令書の発布について

在留特別許可は、退去強制令書が発布される前しか、申請できないと伝えましたね。ただ、本人が退去強制令書自体を持っていることはありません。退去強制令書は、入管の内部文書だからです。

2FH00000047793.pdf (e-gov.go.jp) 第63号様式 退去強制令書

 

すでに、退去強制令書が出ているかを、確認する方法はありますか?

①入管からの認定通知書又は裁決通知書があるかを確認する

本人が入管からもらった書類を確認し、入管からもらった通知書がないかを探します。

2FH00000073041.pdf (e-gov.go.jp) 第53号様式 認定通知書

2FH00000073048.pdf (e-gov.go.jp) 第61号の2様式、裁決通知書

2FH00000073052.pdf (e-gov.go.jp) 第62号の3様式 通知書(在留特別許可されない)

このような通知書から相当期間経ていれば、すでに退去強制令書は出ていると思われます。

 

②仮放免許可書の番号で確認する

仮放免許可を持っているならば、仮放免許可書の番号から退去強制令書が発布されたかどうかを判断できます。

仮放免許可書の右上の番号欄に、東退第0000号と書かれていたら、既に退去強制令書は出ています。東=東京出入国在留管理局 退=退去強制令書済み 番号○○だからです。はい。

 

③監理措置決定通知書で確認する

2FH00000073034.pdf (e-gov.go.jp) 監理措置決定通知書 表 見本

2FH00000073034.pdf (e-gov.go.jp) 監理措置決定通知書見本

2FH00000073034.pdf (e-gov.go.jp) 監理措置決定通知書 裏 見本

2FH00000073034.pdf (e-gov.go.jp) 監理措置決定通知書裏見本

2FH00000073034.pdf (e-gov.go.jp)(監理措置決定通知書 表、裏見本(外部リンク)

監理措置には、入管法44条の2 (違反調査中の監理措置)と、入管法52条の2(退去強制令書後の収容に代わる監理措置)の2つがあります。
裏面に書かれた条文番号で、どちらの法律に基づいて作られたか分かりますので、確認してください。

そして、強調しますが、退去強制令書が一度発布されてしまえば、それ以後、在留特別許可の申請は出来ません。

 

退去強制令書が出た後で、取りうる手段はあるか?

退去強制令書が出た後は、もう、法律上は日本にいることはできません。

そのため、次の①~③のいずれかの方法で、本国に帰ることになります。

①自費出国許可(及び上陸拒否期間短縮)による帰国
②強制送還(国費送還)による帰国
③退去命令(違反者は刑事罰)後の帰国

 

上陸拒否期間短縮許可申請について

自費出国許可申請を行い、本国に帰る

彼が自ら本国に帰ると申し出て、かつ、帰りのチケット代に充当する現金をもっていたら、自費出国許可申請を行って帰国することができます。
また、もし、飛行機のチケット代をもっていない時は、本国の家族などから日本にいるあなたや友人に送金してもらって、あなたや友人が入管に現金を差し入れすることもできます。
その後、自費出国許可により、送還される場所や、出国予定日が決定します。

 

上陸拒否期間短縮許可申請について(新設)

自費出国許可で定められた出国予定日から7日を超えない範囲で、自費出国許可に基づいて自分で日本から出国する場合に限って、上陸拒否期間短縮許可申請が可能になります。

  1. 自費出国許可を既に受けている (すでに出国予定日は決まっている)
  2. 退去強制や出国命令で、出国したことがない
  3. 本人の素行が悪くない
  4. 退去強制事由の理由が酷くない

2FH00000073055.pdf (e-gov.go.jp) 第64条の3様式、上陸拒否期間短縮申請書

1年後に確実に日本に入国できるのならば、一旦本国に帰ってもいいと思っている外国人はかなりいると思います。
本国に帰ったら親兄弟に会いたいし、あなたにも本国を見せたい・・・。このような場合に使える“最後の最大の手段”になると思っています。

ただし、この申請は審査期間が非常に短いです。既に在留特別許可申請等で、審査についての資料等を提出している場合は別ですが、新たな事情変更(退去強制令書発布後に婚姻した等)によりこの申請をしたい場合は、予め入管庁等にその旨を本人から伝えてください。

2FH00000073056.pdf (e-gov.go.jp) 第64条の4様式、(上陸拒否期間短縮許可)通知書

上陸拒否期間短縮許可が取れたら、この通知書を渡されます。その後は、予定日に素直に帰ります。

その後、帰国日よりも1年後以降に、「在留資格認定証明書」による来日が可能です。なお、自動的に1年後に来日できるわけではなく、きちんと在留資格の許可を取って初めて、来日が可能です。ご注意下さい。

ただし、上陸拒否期間短縮申請が万が一認められなかったとしても、必ず自費出国許可で定められた日に帰らなければなりません。

 

強制送還されて、本国に帰る

収容中に、いきなり早朝に起こされ、入管職員に「今日帰るぞ」と言われ、そのまま空港に連れていかれ、飛行機に乗せられ、・・・うんぬんです。この時の飛行機代は、国の負担となります。

もし、もう一度日本に来たいのならば、この形で本国に帰るのは絶対にやめた方がいいです。次の在留資格認定証明書交付申請や、上陸審査の時に、非常に厳しく判断され、ほとんど入国は認められません。

 

それでも帰らない場合は・・・退去命令(新設)

本国への帰国に向けて、全ての条件が整っていて、それでもなお本国に帰りたくないとごねると、入管は期限をきめて「退去命令」を発布することができます。そして、この退去命令を受けた者が、期限内に退去しない場合は、刑事罰(1年以下の懲役もしくは20万円以下の罰金またはその併科)が科せられます。

入管の収容施設から、(刑が決まれば)刑務所に行くことになってしまいます。

※「退去命令」と「出国命令」は、全く異なる制度です。退去強制令書が出ないと、「退去命令」は出せません。ご注意ください。

 

どの形で帰るのが一番いいですか?

退去強制令書発布後に、素直に不法滞在者であると認めて自らの費用で国に帰るか、さんざんごねた挙句、国費により強制送還されて国に帰るかは、その後の来日に確実に影響します。
また、あらゆる手を使って帰国を嫌がったり、飛行機に乗るときに大暴れしたりすると、「退去命令」が行われ、それに従わないと今度こそ刑事罰が科されることになります。

入管は、罪を認め、真摯に反省し、誠実に生きる人にとって、有利となる制度であってほしいと、私も思っています。さて、あなたは、どうしますか??

 

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