不法滞在と国際結婚

不法滞在と国際結婚について

注!
2023年6月8日、国会にて出入国管理及び難民認定法の改正が決まりました。しかしながら現時点では、まだ新しい制度の運用は行われていません。今後、大幅に変更される予定ですので、新しい制度が始まったら、その都度お伝えしたいと思います。

 

不法滞在と国際結婚について

不法滞在とは何か?

彼と付き合った当初はビザのことなど何も分からずに恋に落ちて、そして、どうしようもなく好きになってから、実は彼(又は彼女)から「自分にはビザがない(=不法滞在である)」と泣きながら告白されたというのは、よく聞きます。

本当に彼を好きならば、彼と別れられないならば、辛い事実を受け止めたうえで、覚悟を決めて前に進んでほしいと思います。

短くても半年、長ければ1年以上かかることもありますが、それでも、きちんとビザを取得し、日本で幸せになっている方は、確実にいます。

 

不法滞在は、3つのパターンがあります。

  1. もともと、ある在留資格を持っていたが、「更新」や「変更」をしなくて、
    又は不許可になって、そのまま日本に残り続けている場合
    不法残留(オーバーステイ)
  2. もともと、正しいパスポートやビザを持っていなくて、日本に入った場合
    不法入国
  3. 入国審査で入国が認められず、(難民申請等をして)在留している場合
    不法上陸

「不法残留」「不法入国」「不法上陸」の3つをまとめて、「不法滞在」と言います。

不法在留を知る方法はありますか?

彼のことを疑いたくはないけれど、なんだか怪しい・・・と思ったときに、まずあなたが①から⑤を確認します。

①ビザ(=在留資格)の活動をしているか?
②在留カードを持っているか?
③不正な在留カードではないか?
④(在留カードがない場合)パスポートに証印があるか?
⑤仮放免許可書を持っていないか?

 

①ビザ(=在留資格)の活動をしているか?

日本に暮らす全ての外国人は、必ず、しなければならない活動が決まっています。
(永住者、特別永住者を除く)

「留学」 ⇒日本語学校、専門学校、大学などの学校に通学する
「技術・人文知識・国際業務」⇒(ホワイトカラーの)仕事をする
「技能実習」⇒日本の技能を学ぶために、実習先で働く
「特定技能」⇒特定された会社で働く

なんだか、彼は何もしていないのに日本にずっといるらしい・・・という時は、少し警戒して次に進んでください。

 

 

②在留カードを持っているか

次に確認するポイントは、「在留カード」を持っているか?です。
16歳以上の外国人は全て在留カードがあればいつも、持っていなければなりません。もしあなたが「在留カードを見せて欲しい」と彼に頼んだ時に、「今、持っていない!!」「見せられない!」などと言われたら、非常にあやしいです。
また、在留カードはあるけれど、有効期限より2か月以上過ぎていた時は、不法残留になっている可能性があります。

 

在留カード

 

穴の開いていない在留カードで、かつ、在留期間より2カ月以上過ぎている場合、疑った方がいいです。

在留カード裏

※オンラインで更新や変更の申請をしている場合は、申請中の印がありません。

 

③不正な在留カードではないか?

在留カードの偽造も、ないことはないです。不正な在留カードを見抜く方法はありますので、心配な方はこちらからチェックしてみてください。
在留カードの偽造などを見抜くことは出来ますか? をご覧ください。

 

④(在留カードがない場合)パスポートに証印があるか?

パスポートに貼られた「証印」としてシール
短期滞在や特定活動などで、在留期間が90日未満の場合は、在留カードを作ることができません。その時は、本人のパスポートに、「証印」としてシールがパスポートに貼ってあります。

在留資格と在留期限が分かりますので、それで確認します。

⑤仮放免許可書を持っていないか?

仮放免許可書は、一度発行されれば、常時携行義務(外出時はいつも持ち歩く義務)があります。この為、彼が在留カードを見せる代わりに、「仮放免許可書」を見せてくれて、「自分にはビザがある」と言った・・・なんていう話を聞くこともあります。

えっと、明らかに違います。
仮放免許可書があるということは、収容しなければいけない人に対し、収容を一時的に解除していることを意味します。すなわち、現在の在留資格は何もないか、又は、違反調査中です。

彼が「不法滞在」であることに、間違いはありません。

不法滞在と分かった時に、どうしたらいいですか?

本当に、うっかり忘れて数日が経過した場合(→特別受理)

あ!! うっかり在留期限が切れてしまって、まだ、更新や変更の申請をしていない!!ことが分かった場合、在留カードとパスポートを持って、最寄りの入管にとにかく駆け込んでください。
「特別受理」(本当はダメなんだけど、特別に受理してもらえる)制度が使える場合があります。(必ずではありません)

 

既に2カ月以上経過している場合

残念ですが、既に2か月以上(数年単位の場合もあります)在留期限より経過している場合は、確実に不法滞在、または不法残留・・・ですね。あなたと結婚するかしないかを含め、非常に厳しい決断を迫られることは確かです。

そして、これは、どうしても言わなければいけない。
結婚したからと言って、必ず一緒に暮らせるとは限りません。

彼が本国へ帰国を迫られて、1年以上別々の生活になったりすることは、充分に想定しておいてください。(想定外、では困ります)
入管は、法務省である以上、「法律を遵守すること」を当然のように要求してきます。彼は、残念ながら、既にその原則を破っている。

とにかく、覚悟を決めて、まずは専門家による相談から始めてください。

注!
彼と同じ国の外国人や日本人で、「日本人と結婚すればビザが取れる!オレに任せろ!」と豪語する(行政書士、弁護士以外の)ブローカーがいますが、ほとんどは非常に怪しいです。大抵は、中途半端にそれらしい書類を作って、許可が取れないと分かると怒って投げ出す、又は逃げる。・・・充分にご注意ください。

 

不法滞在と分かった時に、誰に相談すればいいですか?

行政書士がいいですか? 弁護士が必要ですか?

不法滞在者のサポート(申請書の作成等)において、行政書士がいいか、弁護士に頼む必要があるか悩む方もいらっしゃると思います。

行政書士に頼む場合

  • 入管業務に精通した専門の行政書士にする
    (その中でも就労系が得意な方よりは、身分系が得意な方がいいです)
  • 入管に提出する書類作成や、提出の同行を行う。
  • 今の法制度の中で可能な、最善の手段を考える
  • 行政書士は訴訟が出来ない

不法滞在者や、難民申請者については、入管専門の行政書士さんでも取り扱っていない方がいます。
入管業務に慣れていたとしても、不法滞在者の対応は相当な時間と手間がかかるので、あまりやりたくないという気持ちは同業者として分かります。
また今後、一旦本国に帰国させて1年後に再来日させる方法が主になる可能性が高いです。この場合は行政文書で大丈夫です。

 

弁護士に頼む場合

  • 渉外業務(外国人に関する業務)に精通した弁護士さんにする。
  • 行政書士に比べて、費用は圧倒的に高額な・・・はず。
  • 国との訴訟(退去強制令書発布処分取消等請求訴訟)をするならば、弁護士さんしかできません。

外国人で行政書士のことを「弁護士!」「弁護士!」という方はいますが、本当の弁護士さんのことを言っている場合は、ほぼいないですね。もともと、弁護士さんで業務として入管を取り扱っている方自体が、非常に少ない印象を持っています。
なお、彼が全く「不法滞在」に該当しない場合で、事実認定で国(法務省)と争うならば、弁護士さんに依頼するべきです。
しかし丁寧にヒアリングすると、本人が思い当たる理由で「不法滞在」になっている人がほとんどです。

 

誰に相談したら、いいですか?

不法滞在者に対する書類作成は、非常に丁寧なヒアリングを必要とする、時間のかかる作業です。そして、入管に提出できたとしても、その後の審査期間が長いこと、そして結果が出ないまま保留状態が継続してしまうこともあるなど、今後を見通すことが難しいです。

(入管法改正により、少し今後変わりますが・・・)

だからこそ、相談した行政書士や弁護士さんが自分に合うかどうか、業務を依頼する前に見極めることが大切です。

✔ 時間をかけて、じっくりと話を聞いてくれる
✔ いいことも悪いことも包み隠さず、全て本当のことを言える
✔ 今までの経緯や在留状況を正確に把握できる
✔ 今後の見通し(辛いことも悪いことも含め)を正直に話してくれる
✔ 簡単に「ビザ取れますよ!」って、決して言わない (←これ、重要!)

何人もの入管専門の行政書士さんに不法滞在を相談したけれど、あまりにも難案件だからと断られて、最後に弊所にたどり着いたという方もいました。

私だって、丁寧に話を聞けば困難な道のりだと分かってしまいますが、それでも、「どうしても彼を救いたい、彼と一緒にいたい」というあなたの熱意に、私自身が共感できれば、きちんと受任することにしています。

さてと、
あなたに困難な道のりを歩む覚悟と、お金(保証金等が必要です)と、彼の為にかける時間と、そして、何があっても引き裂かれない深い愛情はありますか?
それがゆるぎないものであるならば、次に進んでもいいでしょう。
そうでなければ、この恋を諦めることです。
非常に厳しい言い方をして申し訳ないですが、これから先の道は、いばらの道ですから。

-不法滞在と国際結婚

Copyright© オリ行政書士事務所 , 2024 All Rights Reserved.