注!
2023年3月15日現在、出入国管理及び難民認定法改正案が国会に提出されました。今後国会で法案が可決されれば、運用が変更される予定です。なお、法案が可決されない場合や、今後加筆修正する場合があることをご承知の上で、読んでいただきたいと思います。
不法滞在と国際結婚について
不法滞在とは何か?
彼と付き合った当初は全く分からずに恋に落ちて、そして、どうしようもなく好きになってから、実は彼(又は彼女)から「自分にはビザがない(=不法滞在である)」と泣きながら告白されたというのは、よく聞きます。
本当に彼を好きならば、彼と別れられないならば、事実を受け止めたうえで、覚悟を決めて前に進んでほしいと思います。
短くても半年、長ければ1年以上かかることもありますが、それでも、きちんとビザを取得し、日本で幸せになっている方は、確実にいます。
不法滞在は、3つのパターンがあります。
- もともと、ある在留資格を持っていたが、「更新」や「変更」をしなくて、
又は不許可になって、そのまま日本に残り続けている場合
→不法残留(オーバーステイ) - もともと、正しいパスポートやビザを持っていなくて、日本に入った場合
→不法入国 - 入国審査で入国が認められず、難民申請をして在留している場合→不法上陸、不法残留(難民申請中)
不法在留を知る方法はありますか?
彼のことを疑いたくはないけれど、なんだか怪しい・・・と思ったときに、まず確認する方法です。
①ビザ(=在留資格)の活動をしているか?
②在留カードを持っているか?
③パスポートに証印があるか? (他に何か、挟まっている紙はないか?)
ビザ(=在留資格)の活動をしているか?
日本に暮らす全ての外国人は、必ず、しなければならない活動が決まっています。(永住者、特別永住者を除く)
「留学」 ⇒日本語学校、専門学校、大学などの学校に通学する
「技術・人文知識・国際業務」⇒(ホワイトカラーの)仕事をする
「技能実習」⇒日本の技能を学ぶために、実習先で働く
「特定技能」⇒特定された会社で働く
なんだか、彼は何もしていないのに日本にずっといるらしい・・・という時は、少し警戒して次に進んでください。
在留カードを持っているか
次に確認するポイントは、「在留カード」を持っているか?です。
在留カードはいつも、持っていなければなりません。もしあなたが「在留カードを見せて欲しい」と彼に頼んだ時に、「見せたくない!」「今、持っていない!!」などと言われたら、非常にあやしいです。
また、在留カードはあるけれど、有効期限より2か月以上過ぎていた時は、不法残留になっている可能性があります。
穴の開いていない在留カードで、かつ、在留期間より2カ月以上過ぎている場合、疑った方がいいです。
※オンラインで更新や変更の申請をしている場合は、申請中の印がありません。
不正な在留カードではないか?
在留カードの偽造も、ないことはないです。不正な在留カードを見抜く方法はありますので、心配な方はこちらからチェックしてみてください。
在留カードの偽造などを見抜くことは出来ますか? をご覧ください。
本当に、うっかり忘れて数日が経過した場合
あ!! 在留期限が切れてしまって、まだ、更新や変更の申請をしていない!!ことが分かった場合、在留カードとパスポートを持って、最寄りの入管にとにかく駆け込んでください。
「特別受理」(本当はダメなんだけど、特別に受理してもらえる)制度が使える場合があります。(必ずではありません)
既に2カ月以上(数年単位の場合もあります)経過している場合
残念ですが、不法残留・・・ですね。
結婚するかしないかを含め、非常に厳しい決断を迫られることは確かです。
そして、これは、どうしても言わなければいけない。
結婚したからと言って、必ず一緒に暮らせるとは限りません。
彼が本国へ帰国を迫られて、1年以上別々の生活になったりすることは、充分に想定しておいてください。(想定外、では困ります)
入管は、法務省である以上、「法律を遵守すること」を当然のように要求してきます。彼は、残念ながら、既にその原則を破っている。
あなたに、その覚悟と、お金(保証金等)と、彼にかける時間と、そして、何があっても引き裂かれない深い愛情はありますか?
それがあるならば、次に進んでもいいでしょう。
そうでなければ、この恋を諦めることです。
非常に厳しい言い方をして申し訳ないですが、これから先の道は、いばらの道ですから。
①現行法による
不法滞在の場合、どのような方法がありますか?
- まだ警察や出入国在留管理局に捕まっていない場合→不法滞在で入国管理局に出頭する場合
- 既に警察や出入国在留管理局に捕まった場合→不法滞在で警察や入管に捕まった場合
- 不法滞在と難民申請の両方を行っている場合→難民や補完的保護対象者との国際結婚について
②改正案が可決された後
不法滞在の場合、どのような方法がありますか?
2023年入管法改正で、不法滞在者に対する取り扱いが変更されます。今後の法改正により何が変わるのか、概要を説明しますね。
なお、詳細は個々のページで説明します。
出国命令制度
(現行法)
自分から出入国管理局に出頭した⇒上陸拒否期間1年
(改正案)
自分から出入国管理局に出頭した ⇒上陸拒否期間1年
警察や入管に捕まったが、初回の結果が出る前に速やかに帰国の意思を伝えた⇒上陸拒否期間1年(新設)
詳細は不法残留で出入国管理局に出頭した 及び 不法滞在で入管や警察に捕まった をご参照ください。
違反調査期間中の監査措置の決定と、監査人の選定
(現行法)
入管の違反調査が始まれば、全員が入管施設に収容される。
その後、仮放免が許可されれば、収容所から出ることができる。
(改正案)
入管の違反調査が始まっても、「監査措置」が決定すれば収容されない。
監理人が必要で、入管に定期的に報告をしなければならない。
本人や家族の生計維持のために必要な場合は、就労を認められることがあり得る。
詳細は、監査措置の決定と監査人の選任について をご参照ください。
在留特別許可の「申請」をすることができる
(現行法)
在留特別許可はお願いされるものだから、必ずしも審査する必要はない。
(改正案)
在留特別許可を「申請」できる旨を、必ず入管は本人に教えなければならない。
許可又は不許可の結果について、本人に説明しなければならない。
退去強制令書が発布された後は、することができない。(申請は一度きりになる)
詳細は、在留特別許可を行う をご参照ください。
在留特別許可が不許可でも、上陸拒否期間を1年とする旨を決定できる
(現行法)
なし。上陸拒否期間は5年のみ。
(改正案)
退去強制令書後の自費出国時に、申請に基づき認められた者は、上陸拒否期間を1年とすることができる。
詳細は 在留特別許可を行う をご参照ください。
退去強制令書が出た後で、どうしても帰国できない人は、監査措置を取ることができる
(現行法)
退去強制令書が発布されたら、無期限で帰国までずっと収容する。
ただし、仮放免許可が出れば、収容所から出ることができる。
(改正案)
退去強制令書が発布された後でも、収容しない方がいい場合や、仮放免許可が出ている場合は、監査措置が決定されることがある。
その時は、収容所から出ることができるが、監査人が必要である。
詳細は、退去強制令書発布後の恋愛と、再審情願、行政事件訴訟について をご参照ください。
まとめ
今回の入管法改正により、日本人と婚姻している方で、婚姻の実体がある場合は、以前よりも希望が出てきたと思っています。
- 出国命令が、警察や入管に捕まった後も使えるようになったこと
- 違反調査中に、監査措置により収容しないことができること。
- 違反調査中に、必要があれば就労が認められる可能性があること
- 在留特別許可が不許可でも、上陸拒否期間を1年とする旨が決定される可能性があること
今までに書類を提出したまま、入管に年単位でほっておかれることがあって、ですね。本当に苦しんでいる方を何人も知っているだけに、今回の法改正に期待しています。
詳細についてお聞きしたい方や、お困りの方はご連絡ください。