国籍や宗教によって、困難が予想される場合とは、どのようなものですか?
相手の国籍や宗教によって、国際結婚の生活そのものや、手続きに困難が予想される場合が実際には存在します。
あらかじめ予想される場合、どのような点を注意すべきか説明します。
国際結婚の生活全般において、困難が予想される国とは
結婚によって、女性が必然的に相手国の国籍になる国
(イラン・アフガニスタン・サウジアラビア・エチオピア等)
婚姻後2年以内に、日本の市役所等、又は滞在国の日本大使館に「国籍選択届」の提出が必要です。
提出しないと、日本国籍を失う可能性がありますので、必ず行ってください。
宗教の改宗を求められる国(多くのイスラム教国)
日本での婚姻を成立させた後、イスラム教に入信し、その後宗教儀式による婚姻をします。
詳しくは、モスクなどにお問い合わせください。
また、各国大使館で日本より先に婚姻が成立できる場合があります。この方法を選択する方もいますね。
重婚が認められる国(ネパールやインドも含む)
インドネシアからインド、中東まで広く重婚の習慣があります。
ネパールにおいては2018年の民法改正で、重婚が禁止されていますが、未だにネパール人同士の間で重婚はあるようです。
これは、すべての婚姻が届出ているわけではなく(社会婚と言います。結婚式を挙げ、親族や近隣が婚姻を認めれば、婚姻自体はそこで成立します)、2018年以前の婚姻については、重婚が禁じられていないためです。
重婚で耐えられないのは、日本人です。
日本人としては前妻と離婚後に結婚することを望みますが、ネパールで離婚を成立させるのは以下の理由で非常に大変です。
- ネパールに協議離婚の制度がないので、裁判で離婚をする必要がある
- ネパール人妻に離婚意思がなければ、離婚届より1年後まで離婚できない
- 夫婦財産を分割し、ある程度まとまった金額を女性側に渡すことになる
それでも、何とか前婚の離婚を成立させて、新たに日本人と婚姻する方がいない訳ではないです。お困りの方は、ご相談ください。
(ネパール人弁護士等に依頼し、代理人を立てて日本から手続きを行うことは可能です。高額な費用になると思いますが)
私自身は、これから先にでも、彼が重婚した時点で、自分が離婚しようと決めています。
重婚に耐えられないのは、私だからです。
これは、価値観の違いです。
一個人では、どうしようもない。
あなたが、覚悟を決めることです。
ネパール法における結婚については、「ネパール人との国際結婚」の章もご覧ください。
国際結婚の手続きにおいて、困難が予想される場合とは?
国際結婚そのものではなく、国際結婚の手続きにおいて困難が予想される場合もあります。
下記に該当する方は、国際結婚手続きや、配偶者ビザ申請手続きにおいて、交流の実績が少ないと判断され、不許可になる可能性が非常に高いです。
インターネットで知り合った
又は、旅行先で知り合い、その後インターネットによる遠距離恋愛をしている
遠距離恋愛の期間が長く、実際に対面での交際期間が短い場合です。
現実としてある程度しっかり対面で会っていることが大切です。
もう少し、結婚の時期を遅らせて、実績を積むことが必要です。
交際期間が極端に少ない
出会って数か月で結婚しようとしている場合など。
焦らないで、じっくりと付き合ってから、結婚しましょう。
身元保証人の年収(日本人の年収)が少ない
住民税が非課税になっていたり、二人が暮らしていけるだけの充分な収入がない方などが該当します。
離婚歴がある
特に、外国人との結婚・離婚を繰り返している
又は、離婚前から交際していた(いわゆる不倫関係だった)
年齢差が大きい(20歳以上離れている)
二人の間に極端な年齢差がある場合は、ビザの取得時にかなり慎重審査されます。
ネパールでは、2018年以前は20歳以上の年齢差がある婚姻が認められませんでした。
今は法改正が行われ、このような制限はなくなりましたが、それでもネパール社会における慣習として、ひどく年齢差がある婚姻はあまりありません。
(ただ、日本人の30代後半や40代の女性は、同年代のネパール人女性より非常に若く思われることが多く、実際には本国のご両親に会った時に、すんなり認められることは多いです)
国際結婚の仲介業者を介して知り合った
国際結婚の仲介業者を通して知り合った場合、実際の交際期間が極端に短くなったり、早急に結婚を決めたりしがちです。
外国で初めて出会ってから1週間で結婚し、ビザをお願いしますと言われても、困ります。(実際にそのようなケースの相談はあります。さすがに怖くて受任しませんけれど)
あなたの結婚は、このようなケースに該当していないですか?
その場合は、充分な交際期間(実際に会ってともに暮らす期間です)を取り、慎重に話を進めてください。
せっかく婚姻したのに、日本人配偶者ビザの取得が出来ず、お互い別々の国に分かれて、何年も暮らし続けるのは、酷ですから。