不法滞在と国際結婚

在留特別許可を行う

注!
2023年3月15日現在、出入国管理及び難民認定法改正案が国会に提出されました。今後国会で法案が可決されれば、運用が変更される予定です。なお、法案が可決されない場合や、今後加筆修正する場合があることをご承知の上で、読んでいただきたいと思います。

在留特別許可を行う

※この部分は改正案では大幅に修正される予定です。改正案は、後半部分に記載します。

 

在留特別許可を行うには (現行法)

本国と日本で離れ離れで、夫婦の関係は維持できますか?
家族として、繋がっていけますか?
・・・愛は、続きますか?
「私には、日本人又は永住者の夫(妻)がいます。なんとか、日本に残りたいです」と主張し、法務大臣から特別に在留の許可をもらう。これを、在留特別許可と言います。

 

在留特別許可の手続きの期間について

在留特別許可を入管に提出できる期間は、違反調査から、「退去強制令書」が発布される前までです。この期間が長いか短いかは、収容が継続しているか、仮放免許可申請により収容が解かれているかにより、全く異なります。

収容が継続している場合(非常に短い)

→収容から60日以内に、退去強制令書が発布される
→初めに仮放免許可を申請し、その後在留特別許可を行う。(収容から60日以内)

仮放免許可が出て、収容されていない場合

→退去強制令書までに、相当期間がかかる。年単位で待たされる場合も。
→収容されていないので、その間は日本で一緒に暮らせます。

 

在留特別許可は、許可申請ではなく、願出書を提出する

在留特別許可は、申請や届出ではありません。
本人がただひたすらお願いするものであって、それを、受け取るか否かも含めて入管の審査官の判断です。「書類は受け取りません!」と入管職員に突き返されたこともあり、まあ、ブチ切れるか、泣きたくなります。

在留特別許可が認められたら、どうなりますか?

在留特別許可が認められたら、ある日、仮放免で出頭するときなどに、本人が審査官と面談し、いきなり、「ハイ!!」って、在留カードが渡されます。

なんだか、私としては許可だ!と喜びたい感じですが、建前としてお願いであって許可ではないので、いつ出るかタイミングも全くわからず、なんとな~く、うやむやのまま終わる感じですね。うむ。
「在留特別許可」は、入管の恣意的な?施しであることを、印象付けられるというか・・・。

 

在留特別許可が認められなかったら、どうなりますか?

在留特別許可は、違反調査の最終段階で、法務大臣によって判断されます。認められなければ、入管による違反調査は終了し、退去強制令書が発布されます。

 

在留特別許可の「申請」を行うには (改正案)

※現在まだ、法案の審議中です。

在留特別許可が現行法では「お願いする」ものであり、受け取るか受け取らないか、いつ結果を出すかも含め、入管の恣意的な運用であったことは、記載した通りです。
そのために、いままで書類を提出したにもかかわらず、何年たっても結果が出なくて、就労もできないまま、ただ、日本にいる方がいるのも確かです。
このような配偶者を持つ日本人女性の苦しみを見て、支えてきただけに、在留特別許可が「申請」となることを、私は強く望んでいます。

 

在留特別許可の手続きの期間について (改正案)

在留特別許可の申請ができることを、入管の審査官は本人に伝えなければなりません。

  1. 入国審査官が、違反調査の結果、退去強制対象者に該当すると通知するとき
  2. 特別審査官が、口頭審理をした後
  3. 主任審査官が、法務大臣からの異議の申出が理由ないと裁決した通知を受けたとき

1~3の通知を受けた後、3日以内に必ず、在留特別許可の「申請」を行わなければなりません。つまり、審査官が「在留特別許可できますよ」と伝えた後に、本人が何も申請しなければ、速やかに退去強制令書が発布されてしまいます。

そして、退去強制令書が発布されてしまえば、それ以後、在留特別許可の申請は出来ません。

 

在留特別許可を申請できない場合がある

  1. 本人が無期もしくは1年を超える刑に処せられた者
    (ただし、刑の全部の執行猶予の言い渡しを受けた者、及び刑のうち執行猶予されなかった部分の期間が、1年以下の者を除く)
  2. 入管法で重大な違反理由に該当するもの

犯罪者や、重大な入管法違反者については、申請できません。ただし、人道上の配慮に欠けると認められる事情があれば、それでも申請できます。

 

在留特別許可が認められたら、どうなりますか?

法務大臣が、在留特別許可をするか否かを決定します。

①在留を希望する理由
②家族関係
③素行
④本邦に入国することになった経緯
⑤本邦在留期間の本人の法的地位
⑥退去強制の理由となった事実
⑦人道上の配慮の必要性
⑧内外の諸情勢及び他の不法滞在差に与える影響

これらを考慮して、在留特別許可申請を、「許可」するか否かを決定します。
許可されれば、法務大臣が主任審査官に通知し、その結果を本人に通知します。

 

在留特別許可が不許可となったら、どうなりますか?

不許可となったら、速やかに理由を説明した書面により、本人に通知しなければなりません。その後、退去強制令書が発布されます。

 

退去強制令書発布後の自費出国において、申請が許可されれば上陸拒否期間を1年とする決定をすることができる。(新設)

退去強制令書が発布された後、速やかに自費で出国することを約束し、かつ本人の素行や退去強制事由の理由によっては、本人の申請に基づいて、上陸拒否期間を1年とすることができます!!

これは、非常に朗報ですね!!

どうしても、退去強制理由に該当してしまうけれど、それでも日本に妻や家族がいる場合に、せめて1年ならば離れていられることってあると思っています。(5年間は無理です)

それが、帰国前に認められるとすれば、「それだったら、本国に一度戻ろう」と思う方は、いらっしゃると思います。

 

まとめ

入管法改正により、在留特別許可の結果が(実質的に)4つに分かれます。

□ 在留特別許可の「許可」  ⇒日本にこのまま滞在できる
□ 在留特別許可の「不許可」 ⇒申請が認められれば、上陸拒否期間1年
□ 在留特別許可が「不許可」 ⇒(従来通り)上陸拒否期間5年
□ 在留特別許可が「不許可」 ⇒上陸拒否期間10年又は永久

出国命令制度との兼ね合いもあり、個々のケースでどの手段をとれば一番いいか、判断が難しくなる気がします。ただ、真に婚姻の信ぴょう性のある方を、少しでも救える制度に変わるならば、困難でも努力する意義はあると思っています。

在留特別許可を行う予定の場合は、なるべく早くご連絡をお願いします!!

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