国際結婚の手続き(ネパール編)
ネパールやインド、ミャンマーなど婚姻要件具備証明書が発行されない国の、日本における国際結婚の手続きについて説明します。
彼の国籍によってやり方は異なりますので、詳細につきましては日本にある各国の大使館や領事館にお確かめください。
ここでは一例としてネパール国籍における婚姻手続きについて説明します。
ネパールは、この数年で実績が蓄積されてきたので、手続きがかなりスムーズにいくのが嬉しいですね。
1. ネパール人が必要書類を入手する
まずは、ネパール人の親族に以下の書類を送ってもらいます。
(ほとんどの場合、本人が帰国することなく、ご両親や兄弟などの親族による書類の取得が可能です)
- 出生証明書 (Birth Certificate)
- 独身証明書 (Certificate of Marriage Status 又はSingle Certificate)
- 家族関係証明書 (Relationship Certificate)
- (再婚の場合は)離婚判決書
裁判所から、ネパール語で発行されるもの - (死別の場合は)前婚の配偶者の死亡証明書 (Death certificate)
ネパールの住所地の役所に行き取得してもらいます。場所にもよりますが、離婚判決書以外は、英文で発行してもらえることが多いですね。
かなり田舎の地区オフィスだと、英文での発行は時間がかかるからと、ネパール語で発行する場合もあります。(当事務所ではネパール語→日本語の翻訳が可能なので、ネパール語で発行してもかまいません)
ネパールの書類は、誤字脱字が非常に多いです。せめて、本人の生年月日とスペルが間違っていないかは、丁寧に確認してくださいね。
あと、ようやく書類が取得できたからと、そのまま日本に送っても全く使えません。
大切なのは、書類の裏面。
→発行する役所印と発行者のサイン
→カトマンズにあるMOFA Consular Serviceの認証印
この2つの印があることを確認してから、日本に送ってください。
なお、ネパールでこれらの書類の英語→日本語訳までする必要はありません。日本で行って大丈夫です。
どうしてもわからなければ、(ネパールで実際に手続きする親族がよく分かっていない場合が多いです)業務として受任すれば具体的なやり方を教えます。ご連絡くださいね。
また、受任時は当事務所で英語→日本語翻訳及び、ネパール語→日本語翻訳を行っています。
2. 在日本ネパール大使館で、大使館印を取得する
MOFA Consular Serviceの認証印がある書類は、在日本ネパール大使館の認証印をもらうことができます。婚姻届を提出する役所によりますが、大使館印を要求されることが増えてきました。
必要書類
- カバーリングレター
- 認証印をもらいたい書類(出生証明書、独身証明書、家族関係証明書)の原本
- (ネパール人の)ナガリクタ(身分証明書)
- (ネパール人の)パスポート
- 費用 1枚当たり6000円×枚数
在日本ネパール大使館に直接行ってもいいし、郵送請求しても大丈夫です。その際はナガリクタとパスポートは原本ではなくコピーを用意し、返信用の封筒を同封しておきます。
3. 市役所に婚姻届を提出する
市役所に婚姻届を提出するときの必要書類は、以下の通りです。
- 婚姻届(記載済みのもの)
- (ネパール人の)出生証明書と、その日本語訳(認証印あり)
- (ネパール人の)独身証明書と、その日本語訳(認証印あり)
- (ネパール人の)家族関係証明書と、その日本語訳(認証印あり)
- (ネパール人の)パスポートと、その日本語訳
- 婚姻要件具備証明書がないことの申述書
提出する役所においてあることも多いです。弊所でも作成できます。 - (日本人の)戸籍謄本
戸籍と提出する市役所が異なる場合は必要です - 本人確認書類(免許証やパスポートなど)
※せっかく役所に二人で行くので、婚姻届を提出したときの写真を撮っておいてくださいね。
緊張したりすると、あっさりと忘れてしまうことがあり・・・。
婚姻が成立すると、「婚姻届受理証明書」が当日から数日以内に取得できるようになります。
ネパール大使館の婚姻の報告に使用しますので、準備しておきます。
また、一週間前後くらいで、新しい「戸籍謄本」が発行できます。ご自身の婚姻の欄に、彼の名前が書かれていれば、日本側の婚姻手続きは終了です。
4. 在日本ネパール大使館での婚姻報告
ネパール大使館に婚姻を報告し、証明書を取得します。配偶者ビザの申請時に必要ですので、必ず行いましょう。
- 申請書(大使館においてあります)
- 婚姻届受理証明書(市役所発行のもの、原本)
- (ネパール人の)パスポート
- (ネパール人の)ナガリクタ
- (日本人の)パスポート
- (日本人の)免許証等
- 費用 6000円
直接行ってもできますし、郵送請求も可能です。その場合は、受理証明書以外は原本ではなくコピーを添付します。また、返信用封筒も用意しておきます。
まとめ
婚姻要件具備証明書が発行されない国の婚姻手続きは、本国書類の正確性が全てです。認証印がなく日本に書類が届いたときは、やり方を説明した上で本国に返送しています。定められた形の書類でなければ、婚姻届を受理してもらえないからです。
結婚は、民法の規定により、婚姻要件を満たしている時に限りできます。重婚や偽装婚を防ぐ必要があるから、ある程度厳しいのは仕方ないと思いますが、本人や本国の事情を汲んで行うなどの配慮は、ほぼないですね。
外国人側の提出書類が整うまで、1年近くかかった案件もあります。それほど、婚姻手続きで拗れると何ともならないだけに、神経を使います。
また、日本法ではなく、ネパール法における年齢差婚の規定や、待婚期間の立証を求められたこともあります。どれだけ厳しい役所だ!!と驚きましたが、お困りの方はご一報ください。