不法滞在と国際結婚

【最新版】入管法の改正と今後の運用について

令和6年(2024年)出入国在留管理及び難民認定法改正(以降、改正入管法と書きます)と今後の運用について

注!
2024年6月10日(令和6年)に、改正入管法が施行されました。改正後の制度について記載します。なお、詳細は現時点で当職が把握したものであり、今後加筆修正等を行う可能性があります。

入管法の改正と今後の運用について

2024年6月(令和6年)の入管法改正により、不法滞在者の取り扱いが変わります。まずは具体的に何が変わるのか説明しますね。

 

不法滞在とは何か?

日本に4か月以上住んでいる外国人や、日本に観光に来ている外国人(日本国籍がない人全て)には、ビザ(=在留資格)があります。そのビザの期限が切れた後も日本にいる人や、そもそもビザがないまま入国してしまった人などを、不法滞在者と言います。

付き合った当初はビザのことなど何も分からずに恋に落ちて、そして、どうしようもなく好きになってから、実は彼(又は彼女)から「自分にはビザがない(=不法滞在である)」と泣きながら告白されたというのは、よく聞きます。

そのような、本当に困っている状況の方に、改正入管法を踏まえて今後どうすればいいのかをお伝えします。

不法滞在者の見分け方については、こちら

 

入管法改正による、主な改正点は5つある

従来の入管法でも、不法滞在者への対応はありました。しかし、制度化されていないものが多く、運用等で行ってきたのが事実です。今回は従来の運用を制度化し、申請したあとで、許可または許可されないと判断することが、大きな改正点です。

(ビザや在留について)
1. 出国命令制度の拡大(出国命令が、警察や入管に捕まった後も使える)
2. 在留特別許可申請をすることができる
3. 退去強制令書発布後でも、上陸拒否期間を1年に短縮する決定があり得る

(入管の収容について)
4. 違反調査中に、監理措置が付されれば収容されない(就労できる場合もある)
5. 退去強制令書後も、監理措置が付されれば収容されない。(ただし、就労は不可)

 

ビザや在留について

1. 出国命令制度の拡大
(出国命令が、警察や入管に逮捕された後も使える)

☑ 自分から出入国管理局に出頭した ⇒上陸拒否期間1年(現行法と同じ)
☑ 警察や入管に捕まったが、初回の結果(=認定通知書)が出る前に速やかに帰国の意思を伝えた
⇒上陸拒否期間1年(新設)
⇒ただし、「短期滞在」で入国する場合は、5年

※以前は警察や入管に捕まると出国命令制度が使えずに、上陸拒否期間が5年だったのですが、新制度では1年に短縮されます。

詳細は 出国命令と不法残留 をご参照ください

 

2. 在留特別許可の申請をすることができる

☑ 在留特別許可を申請することができる。
☑ 許可されなかった場合、その理由について、説明しなければならない。
☑ 在留特別許可の申請は、退去強制令書が発布された後は、することができない。

詳細は、在留特別許可の申請を行うには をご参照ください。

在留特別許可されれば、そのまま日本に住み続けることができます。

 

3.  退去強制令書発布後に、自費出国が許可された後、上陸拒否期間を1年に短縮する申請をすることができる

☑ ①退去強制令書がすでに発布されている
☑ ②自費出国許可が許可されている
☑ ①、②が終わった後、上陸拒否期間を1年とする申請を行うことができる。

詳細は、上陸拒否期間短縮申請と退去命令 をご参照ください。

上陸拒否期間短縮申請が認められれば、1年後以降に「認定証明書」があれば入国できます。

 

入管の収容について

4. 違反調査中に、監理措置が付されれば、収容されない(就労できる場合もある)

違反調査中(=退去強制令書発布前)に、監理措置が決定されれば、収容はされません。
☑ 入管法改正後は、監理措置決定申請を行う
☑ 入管の違反調査が始まっても、監理措置が決定すれば収容されることはない
☑ 監理措置には監理人が必要
☑ 本人や家族の生計維持のために必要な場合は、就労を認められることがあり得る
※監理措置が決定されれば、一緒に暮らし続けることができます。また、入管が認めれば働くことができるのは、今までではあり得ないことです。

詳細は、監理措置の決定と、監理人の選任について をご参照ください。

 

注!
現在、仮放免許可を持っている方は、今まで通りの手続き(出頭と仮放免許可の更新)で大丈夫です。どうしても違反調査中に就労したい場合を除き、「監査措置」にする必要はありません。

 

5. 退去強制令書後に、監理措置が付されれば、収容されない
(ただし、働くことはできない)

☑ 退去強制令書が発布された後でも、申請すれば監理措置が決定されることがある。その時は、収容されない、または収容所から出ることができる。

詳細は、退去強制令書後の監理措置の決定について をご参照ください。

 

まとめ

私は今まで不法滞在中に結婚した後に、夫婦が引き裂かれた形で彼(や彼女)が本国に帰国し、それから何年も離れ離れで辛く思う人たちを見続けてきました。その中にはもちろん、(当職の手助けもあり)しばらくして日本に戻ることができた人もいます。
しかし、遠く離れている時間は無常で、ついに夫婦としての愛情が保てなくなり、連絡も全くなくなって、ただ「外国人と婚姻している」戸籍だけが残り続けている人もいました。先の見えないチャレンジを何回も何回も強いる入管を、非情に思うその気持ちは、理解できます。

今回の法改正で、不法滞在者で、かつ入管が(日本人と結婚した等の)事情を認めた人に対して、今後ビザを取得できる方法が少しですが確立されました。そのため、丁寧に申請を進めることにより、少し先の未来が見通せるようになっていくように思います。

あなたがこのような事情で苦しんでいる一人ならば、これは確実に希望です。
そう信じて、前に進むことができるようになっただけ、まだ救われると思っています。

お困りの方は、ご連絡ください。

 

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