不法滞在と国際結婚

入管法の改正と今後の運用について

出入国在留管理及び難民認定法(以降、入管法と書きます)改正と今後の運用について

(以後、改正法については、タイトルを緑色にします)

注!
2023年6月8日、国会にて出入国管理及び難民認定法の改正が決まりました。しかしながら現時点では、まだ新しい制度の運用は行われていません。2026年6月ごろには、大幅に変更される予定ですので、新しい制度が始まったら、その都度お伝えしたいと思います。

入管法の改正と今後の運用について

2023年6月の入管法改正により、不法滞在者の取り扱いが変わります。まずは具体的に何が変わるのか説明しますね。

出国命令制度が、警察や入管に逮捕された後も使える

(現行法)
自分から出入国管理局に出頭した⇒上陸拒否期間1年

(改正後)
自分から出入国管理局に出頭した ⇒上陸拒否期間1年(現行法と同じ)

警察や入管に捕まったが、初回の結果が出る前に速やかに帰国の意思を伝えた
⇒上陸拒否期間1年(新設)
⇒ただし、「短期滞在」で入国する場合は、5年

※以前は警察や入管に捕まると、出国命令制度が使えずに、上陸拒否期間が5年だったのですが、新制度ではその期間が5年→1年に短縮されます。
(ただし、短期滞在を除く)

詳細は 監理措置の決定と監理人の選任について(改正後)/ 違反調査中の出国命令について をご参照ください。

 

「監理措置」を入管が決定すれば、違反調査中でも収容されない

(現行法)
入管の違反調査(=不法滞在者かどうかの取り調べ)が始まれば、容疑者である外国人は全員が入管施設に収容される。(全件収容主義といいます)
その後、仮放免が認められれば、収容所から出ることができる。

(改正後)
入管の違反調査が始まっても、「監理措置」が決定すれば収容されない。
「監理措置」には監理人が必要。
本人や家族の生計維持のために必要な場合は、就労を認められることがあり得る。

※違反調査が始まっても収容されなければ、夫婦が引き裂かれずに済みます。また、入管が認めれば就労が可能になるのは、今までではあり得ないことです。

詳細は、監理措置の決定と、監理人の選任について/(改正後)監理措置の決定と、監理人の選任について をご参照ください。

 

在留特別許可の「申請」をすることができる

(現行法)
在留特別許可はお願いされるものだから、必ずしも審査する必要はない。

(改正後)
在留特別許可を「申請」できる。
許可又は不許可の結果について、本人に説明しなければならない。
在留特別許可の申請は、退去強制令書が発布された後は、することができない。

詳細は、在留特別許可を行う/在留特別許可の「申請」を行うには (改正後) をご参照ください。

 

在留特別許可が不許可でも、上陸拒否期間を1年に短縮する「申請」をすることができる

(現行法)
なし。現行法における上陸拒否期間は5年または(2回目以降)10年。

(改正後)
在留特別許可が不許可で、退去強制令書が発布された後でも、申請に基づき認められた者は、上陸拒否期間を1年とすることができる。

この措置は非常に大きいですね。既に退去強制令書が出ている場合に、再審情願や退去強制令書取消訴訟をするのではなく、速やかに帰国して1年後に来日する手続きが出来たからです。

 

退去強制令書が出た後で、どうしても帰国できない人は、監理措置を取ることができる

(現行法)
退去強制令書が発布されたら、無期限で帰国までずっと収容する。
ただし、仮放免が許可されれば、収容所から出ることができる。ただし就労はできない。

(改正後)
退去強制令書が発布された後でも、収容しない方がいい場合には、請求すれば監理措置が決定されることがあり、その時は、収容所から出ることができる。

詳細は、退去強制令書と再審情願、行政事件訴訟について/(改正後)退去強制令書と上陸拒否期間短縮許可申請、退去命令について/上陸拒否期間短縮許可申請について(新設) をご参照ください。

 

まとめ

日本人と婚姻し彼と一緒に暮らしている方は、以下の理由により、現行法よりも希望が出てきたと思っています。

(改正後)

1. 出国命令が、警察や入管に捕まった後も使える
2. 違反調査中に、監理措置が付されれば収容されない
3. 違反調査中に、必要があれば就労が認められる可能性がある
4. 在留特別許可の「申請」をすることができる
5. 在留特別許可が不許可になった後でも、「申請」をすれば上陸拒否期間を1年とする旨の決定を得られる可能性がある
6. 退去強制令書後も、監理措置が付されれば収容されない。(ただし、就労不可)

今回の法改正で、出国命令の拡大や、在留特別許可の「申請」、上陸拒否期間の短縮決定「申請」などの手続きが制度化されました。そのため、本人が申請し入管が事情を認めた人に対して、上陸拒否期間が短くなり、リセット(=本国にいったん帰国し、再度在留資格認定証明書交付申請で来日すること)がやりやすくなります。
きちんと不法滞在を反省し、速やかに自責で帰国すれば、その後の夫婦が長期間離れ離れにならないようになります。

その代わりに、3回以上の難民申請者に対して強制送還ができるようになります。今まで粘りに粘って不法滞在のまま数年~十数年滞在していた送還忌避者を、(難民認定されなければ)本国に戻るよう強く言われることが今後激増すると思います。

さて、そのような人と恋愛や結婚をしている場合ですが・・・
・・・そうですね。
退去強制令書がまだ出ていなければ在留特別許可の申請をする。
退去強制命令書が出てしまっているならば、上陸拒否期間を1年とする申請をする。

まずは、今できる事を精一杯やってみることです。
申請できるようになったのだから、許可または不許可の結果も分かりますから。

さてと、詳細についてお聞きしたい方や、お困りの方はご連絡ください。

 

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