不法滞在と国際結婚

出国命令と不法残留

出国命令(上陸拒否期間は1年)により帰国する

「出国命令」制度について説明します。なお、この出国命令は不法残留(オーバーステイ)のみ使える制度であり、不法入国、不法上陸では使えませんので、ご注意ください。

不法入国、不法上陸についてはこちら

さて、彼が不法残留(オーバーステイ)だと分かったとき、あなたと彼がどうすればいいか説明します。

  1. とにかく、婚姻を成立させる
  2. 自ら入管に出頭できる場合 (まだ、警察や入管に捕まっていない場合)
    → 出国命令により帰国する
  3. 警察か入管に見つかってしまった場合
    → 違反調査の初回の結果が出る前に、出国命令により帰国する
    → 「短期滞在」は5年の入国禁止。その他は1年のみ
  4. 婚姻が成立し、同居をしていて、どうしても帰りたくない場合
    → 在留特別許可の申請をする

 

とにかく、婚姻(国際結婚)を成立させる

たぶん、彼は自分が捕まることを怯えながら、生活していることと思います。

まずは婚姻を成立させてください。
日本の結婚は、「あなたの戸籍の婚姻欄に彼の名前が載ること」です。
本国の婚姻は、「日本にある本国の大使館等から、あなたと彼の名前の載った、婚姻証明書が発行されること」です。

国際結婚は、とにかく本人が市役所や日本にある彼の国の大使館に行くことを求められるために、できるだけ警察や入管に見つからないうちに、速やかに行うことをお勧めしています。
それでも国により、独身証明書や結婚証明書が出来るまでに数週間かかることがあります。

あと、絶対に偽装結婚はダメです。
「同居し、夫婦としての共同生活を営む意思のない結婚」=入管法で言う偽装結婚です。
そのため、できれば婚姻前から、少なくとも婚姻直後から、夫婦が同居することは“義務”です。「両親や子どもが自分たちの結婚に反対しているから、今は同居出来ない」というような言い訳を、いろいろ話す方はいますが、夫婦が別々に生活していることだけで、入管は婚姻の信ぴょう性を疑います。

なお婚姻届を提出した役所が、不法滞在を通報することはありません。
「婚姻手続きが終わったら、入管に出頭してくださいね」と市役所の人に促されることはありますが、不法滞在でも結婚すること自体は可能ですので、安心して大丈夫です。

 

出国命令により帰国する

入管に出頭し、出国命令によって帰国する

出国命令での出国が出来る場合は、以下の5つ全てに該当している場合です。

  1. 出頭した + 速やかに出国する意思がある
    又は、警察等に捕まった + 速やかに出国の意思がある
  2. 不法残留以外の退去強制理由がない(不法入国、不法上陸者はできません)
  3. 重い罪に罰せられたことがない
  4. 初犯(1回目)である
  5. 速やかな出国が確実である

この場合、出頭した後で入管に収容されることはありません。

出入国在留管理局

 

出頭後の流れについて(東京出入国在留管理局の場合)

  1. 出頭日に「出国命令で帰国します」と審査官に伝える
    (数時間の聴取がありますので、出頭日は早めに行きましょう)
  2. 次回出頭日を指定される
  3. 指定された日に入管に行き、入管職員からヒアリング(=違反調査)を受ける
    (複数回のこともあります)
  4. 違反調査が完了したら、審査官から「〇日~〇日の飛行機のチケットを購入し、持ってくるよう」伝えられる
  5. 最後に入管に行く日に、帰国便のチケットを見せて、その便で帰る

出国命令でさっさと本国に帰りたいからと、自分で勝手にチケットを買ってきて、入管職員から「まだ、(違反)調査が終わってないでしょ!!自分の都合では帰れないからね!!」と怒られている外国人がいたりします。まあ、見ていると様々です。

 

本国帰国と、その後の申請について

出国命令での帰国後、(日本への)上陸拒否期間は1年間です。つまり、1年間は日本に(どのビザでも、ビザがなくても)入ることは出来ません。

なお、改正後に新設された出国命令(=警察や入管に捕まった後の出国命令)では、日本人の配偶者等や、その他の在留資格を得られれば1年で入国できますが、「短期滞在」真名田「ビザなし」での来日は5年間の上陸拒否期間となります。

 

上陸拒否期間終了後の入国について

上陸拒否期間(1年)が過ぎた後で、「在留資格認定証明書」交付申請を行います。そして、きちんと認定証明書が交付されれば、日本への入国は可能です。(正規入国となります)

あ・・・・・・
入管は、出国命令で帰国したことをきちんと把握していますので、申請書や質問書に正直に書いてくださいね。また、真摯な反省の意を伝えることも大切です。

上陸拒否期間終了後の「在留資格認定証明書交付申請」と、上陸特別許可について

 

まとめ

出国命令による帰国は、上陸拒否期間が1年に限られます。そして、1年後に何らかの在留資格が取得できれは、もう一度日本に来ることは十分に可能です。つまり、この制度を使えば、なにも日本人と結婚しなくても、その他の在留資格でもう一度来日できる可能性があるということです。

また、前婚の離婚が成立せずに、今すぐあなたと結婚が出来ないような状況で、彼が警察に捕まってしまった!!などのケースでも、今後活用されていくように思います。

ただ・・・・
やはり、彼と日本で一緒に暮らしたい。彼の子どもを妊娠したなどの場合は、出国命令ではなく、在留特別許可申請を行います。

在留特別許可を申請するは、こちら

 

-不法滞在と国際結婚
-, , , ,

Copyright© オリ行政書士事務所 , 2024 All Rights Reserved.