注!
2024年(令和6年)6月10日より、在留特別許可が申請できるようになりました。新たな制度なので、ご不明な点がありましたら、当事務所に直接お問い合わせください。
在留特別許可を申請する
在留特別許可を行うには
2024年6月10日より、新しい入管法が施行され、在留特別許可を「申請」できるようになりました!!
従来は入管に在留特別許可願出書を提出していましたが、これは受け取った入管が必ずしも審査しなければならないものではありませんでした。
そのため、何年たっても結果が出なくて、心配や不安な状態が続いたまま苦しんでいたケースが多くありました。
入管法改正により、今後入管は必ず「在留特別許可申請」ができる旨を本人に伝え、本人が申請した時は許可するか否かを通知しなければなりません。これにより、申請すれば確実に審査結果が出て、万が一、許可されなくても、その理由が分かるようになりました。
つまり、今後につながる道が制度化された!! ということです。
違反審査の流れと、いつ在留特別許可申請ができるのか?
注!
入管法改正により、在留特別許可申請の流れが従来と異なります。従来は、不服申し立てを繰り返し、法務大臣の裁決(一番最後の審査)後に、在留特別許可されていました。しかしながら、今回からは違反調査の結果又は異議の申し立ての結果が出た3日後までに、不服申し立て又は在留特別許可申請をしなければなりません。。
呼出状~(入国審査官の)認定通知書
彼が不法滞在者かどうかの違反審査は、自分で入管に出頭した時を除き、呼出状から始まります。
2FH00000073032.pdf (e-gov.go.jp) 51-2様式 呼出状
うわー!!嫌ですね。見ただけで手が震える思いがします。
でも、あなたと結婚して在留特別許可を得たいと願うならば、どうしても本人が指定された日に入管に行かざるを得ないです。
そして、もしすでに結婚しているのであれば、あなたも一緒に入管に行くべきです。夫や妻の在留状況に無関心な人だと、思われないために・・・ですね。
その後、入国審査官の違反調査が終わったら、その結果につき、「認定通知書」が本人に渡されます。
2FH00000073041.pdf (e-gov.go.jp) 53号様式 認定通知書
この書類を渡されてから3日以内に、以下のどちらかを行わないと、あっさり退去強制令書が出てしまいます。
☑ 自分は不法滞在ではない。違反審査は間違っている ⇒口頭審理の請求
☑ 不法滞在であると認めるが、在留を特別に認めてほしい ⇒在留特別許可申請
すなわち、認定通知書が本人に渡される前に、あらかじめ在留特別許可申請の書類一式を用意しておく必要があります。
少なくとも認定通知書をもらうのと同日に、本人が確実に申請できるようにするためです。認定通知書をもらってから急に書類を作ったのでは、ほぼ間に合いません。
なお、どうしても書類が提出できない場合や、そもそも、不法滞在者ではないから、審査結果につき不服である場合は、口頭審理の請求を行います。
注!
在留特別許可を申請する場合は、決して「在留特別許可申請放棄書」に署名をしないように伝えてください。署名してしまうと、在留特別許可申請が出来なくなります。
口頭審理~(特別審査官の)裁決
「自分は不法滞滞在者ではない。入管の審査が間違っている!」と主張するときは、認定通知書をもらってから3日以内に、異議の申出を行います。上級の(少し偉い)審査官に、本人から直接話を聞いてもらい、もう一度審査するようにお願いします。これを、口頭審理と言います。
この後、しばらくして聴取のため呼び出され、その後、口頭審理の結果について、採決通知書が渡されます。
2FH00000073048.pdf (e-gov.go.jp) 第61号の2様式、裁決通知書
この書類を渡されてから3日以内に、在留特別許可申請を行わないと退去強制令書が出てしまいます。
☑ 不法在留者であることは認めるが、在留を特別に認めてほしい⇒在留特別許可申請
なお、不法滞在についての審査はこれで2回行われましたので、これ以上の不服申し立てはできません。
どうしても、自分は不法滞在者ではないと信じるならば、退去強制令書が出た後で、裁判(退去強制令書発布取消訴訟)をするしかありません。
再審情願と、退去強制令書発布取消訴訟について
注!
在留特別許可を申請する場合は、決して「在留特別許可申請放棄書」に署名をしないように伝えてください。
在留特別許可申請について
在留特別許可申請書はありますか?
2FH00000073051.pdf (e-gov.go.jp) 第61条の4 在留特別許可申請書
在留特別許可申請において、法定されている書類は、この1枚だけです。
これなら、本人もその場で書くことができるでしょう。
ただし、この紙1枚で許可が取れるとすれば、次の一から四の場合だけだと思います。
一 永住許可を受けているとき。
二 かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。
三 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。
四 第六十一条の二第一項に規定する難民の認定又は同条第二項に規定する補完的保護対象者の認定を受けているとき。
五 その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。
ほとんどの人は、あなたと結婚していることに基づく、「五 その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」になります。あなたと彼の特別な事情を、真摯に訴えていかなければ、許可になる可能性はありません。
そのため、申請以外は、各地方入管で従来から在留特別許可で使われている書類等を出すことになると思われます。
お困りの方はお問い合わせください。
在留特別許可が認められたら、どうなりますか?
入管は、以下の①~⑧を考慮して、在留特別許可を許可するか否かを決定します。
① 在留を希望する理由
② 家族関係(家族と共に生活するという、子の利益の保護が必要か?)
③ 今までの行動やほかの法令違反はあるか?
④ 日本に入国することになった経緯(適法に入国したか?)
⑤ 日本にいる間の在留状況(在留資格に基づく活動をしていたか?)
⑥ 退去強制の理由となった事実は何か?(犯罪等はあるか?)
⑦ 人道上配慮しなければならないことはあるか?(病気治療、難民、送還できない等)
⑧ 諸外国の状況や、そのほかの不法滞在者に与える影響
この中で、積極的要素と消極的要素に分けて検討し、在留を特別に認めるかを決定します。すなわち、元々きちんとした在留資格があった人や、日本人の妻や実子がいて、地域社会に貢献している人と、不法入国で来日し、犯罪歴がある人と、結果が同じであるとは思えないです。
なお、従来は不法滞在の期間が長くなれば、それなりに日本に定着しているとして、事情を考慮することもありましたが、今後は不法滞在歴の長さは、消極的要因として判断されます。
在留特別許可が許可されたときは、審査官から新しい在留カードを渡されます。そこに、「日本人の配偶者等」などの在留資格と、在留期限が書いてあります。
よかったですね!!😊💕
在留特別許可が不許可となったら、どうなりますか?
「あなたからの在留特別許可の申請は、下記の理由により在留特別許可をしないこととしたので、通知します。」と書かれた、通知書を渡されます。また、通知書には、その理由も書いてあります。
2FH00000073052.pdf (e-gov.go.jp) 第62号の3様式 通知書
そして、その直後に、退去強制令書が発布されますので、結果に納得できなくても、もう一度在留特別許可の申請をする事は一切できません。
なお、この場合においても、退去強制令書の発布後に、上陸拒否期間を1年に短縮する申請は可能です。
詳しくは 退去強制令書と上陸拒否期間短縮許可申請について をご覧ください。
退去強制令書前でも、在留特別許可を申請できない場合がある
- 本人が無期もしくは1年を超える刑に処せられた者
(ただし、刑の全部の執行猶予の言い渡しを受けた者、及び刑のうち執行猶予されなかった部分の期間が、1年以下の者を除く) - 入管法で重大な違反理由に該当するもの
犯罪者や、重大な入管法違反者に、在留特別許可されることは非常に難しいでしょう。ただし、人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情(命に係わる病気やケガ等)があれば、それでも申請できます。
入管に収容されている場合は、「監理措置の申請」も同時に行う
本人が入管に収容されている場合、退去強制令書は収容時より60日以内に発布しなければならないという非情なルールがあります。そのため、特に収容案件においては、審査が早く進むことがあります。
「監理措置」申請を行い、入管の収容を解いて、在宅案件にしてもらうことも、とても大切だと思います。