不法滞在と国際結婚について
不法滞在者を見分ける方法
私が行政書士として外国人に接するとき、真っ先に話す言葉は「在留カードを見せてください!」です。
在留カードやパスポートを見せるのを非常に嫌がった場合や、「家においてきた」「車に忘れた」などと言った場合は、うわー!これはかなり怪しい!と思っています。
まあ、でも、あなたはそうはいかないでしょうから、不法滞在者の見分け方を教えますね。
ただ、最後は、泣きながらでも本当の事実を言ってくれる人を、あなたは信頼するべきだと思います。
本当のことが分かれば、対処できる可能性が広がるからです。
とにかく頑張って、聞いてみてくださいね。
不法滞在は、3つのパターンがあります。
- もともと、ある在留資格を持っていたが、「更新」や「変更」をしなくて、
又は不許可になって、そのまま日本に残り続けている場合
→不法残留(オーバーステイ) - もともと、正しいパスポートやビザを持っていなくて、日本に入った場合
→不法入国 - 入国審査で入国が認められず、(難民申請等をして)在留している場合
→不法上陸
「不法残留」「不法入国」「不法上陸」の3つをまとめて、「不法滞在」と言います。
不法滞在かどうか、確認する方法はありますか?
彼のことを疑いたくはないけれど、なんだか怪しい・・・と思ったときに、まずあなたが①から⑤を確認します。
①ビザ(=在留資格)の活動をしているか?
②在留カードを持っているか?
③不正な在留カードではないか?
④(在留カードがない場合)パスポートに証印があるか?
⑤監理措置決定書(又は仮放免許可書)を持っていないか?
①ビザ(=在留資格)の活動をしているか?
日本に暮らす全ての外国人は、必ず、しなければならない活動が決まっています。
(永住者、特別永住者を除く)
「留学」 ⇒日本語学校、専門学校、大学などの学校に通学する
「技術・人文知識・国際業務」⇒(ホワイトカラーの)仕事をする
「技能実習」⇒日本の技能を学ぶために、実習先で働く
「特定技能」⇒特定された会社で働く
なんだか、彼は何もしていないのに日本にずっといるらしい・・・という時は、少し警戒して次に進んでください。
②在留カードを持っているか
次に確認するポイントは、「在留カード」を持っているか?です。
16歳以上の外国人は全て在留カードがあればいつも、持っていなければなりません。もしあなたが「在留カードを見せて欲しい」と彼に頼んだ時に、「今、持っていない!!」「見せられない!」などと言われたら、非常にあやしいです。
また、穴の開いていない在留カードで、かつ、在留期間より2カ月以上過ぎている場合、疑った方がいいです。
※オンラインで更新や変更の申請をしている場合は、申請中の印がありません。
その場合は、入管から本人に申請中のメールが届いていますので、確認してください。
③不正な在留カードではないか?
在留カードの偽造も、ないことはないです。不正な在留カードを見抜く方法はありますので、心配な方はこちらからチェックしてみてください。
在留カードの偽造などを見抜くことは出来ますか? をご覧ください。
④(在留カードがない場合)パスポートに証印があるか?
短期滞在や特定活動などで、在留期間が90日未満の場合は、在留カードを作ることができません。その時は、本人のパスポートに、「証印」としてシールがパスポートに貼ってあります。
在留資格と在留期限が分かりますので、それで確認します。
⑤監理措置決定書(又は仮放免許可書)を持っていないか?
不法滞在者の違反調査中や、既に退去強制令書が出ていて、入管に収容されなければいけないのだけれど、収容をしていない人がいます。この場合、「監理措置決定書」又は「仮放免許可書」を持っているので、確認してください。
詳しくは、監理措置の決定と、監理人の選任について をご覧ください。
不法滞在と分かった時に、どうしたらいいですか?
本当に、うっかり忘れて数日が経過した場合(→特別受理)
あ!! うっかり在留期限が切れてしまって、まだ、更新や変更の申請をしていない!!ことが分かった場合、在留カードとパスポートを持って、最寄りの入管にとにかく駆け込んでください。
「特別受理」(本当はダメなんだけど、特別に受理してもらえる)制度が使える場合があります。(必ずではありません)
既に2カ月以上経過している場合
残念ですが、既に2か月以上(数年単位の場合もあります)在留期限より経過している場合は、確実に不法滞在、または不法残留・・・ですね。あなたと結婚するかしないかを含め、非常に厳しい決断を迫られることは確かです。
そして、これは、どうしても言わなければいけない。
結婚したからと言って、必ず一緒に暮らせるとは限りません。
彼が本国へ帰国を迫られて、1年以上別々の生活になったりすることは、充分に想定しておいてください。(想定外、では困ります)
入管は、法務省である以上、「法律を遵守すること」を当然のように要求してきます。彼は、残念ながら、既にその原則を破っている。
とにかく、覚悟を決めて、まずは専門家による相談から始めてください。
注!
彼と同じ国の外国人や日本人で、「日本人と結婚すればビザが取れる!オレに任せろ!」と豪語する(行政書士、弁護士以外の)ブローカーがいます。しかし、そのほとんどは非常に怪しいです。大抵は、中途半端にそれらしい書類を作って、許可が取れないと分かると怒って投げ出す、又は逃げる。・・・十分にご注意ください。
また、今後、日本人と結婚さえすれば、1年後には晴れて再び日本に来ることができる!と信じて、真摯な婚姻意思ではなく、在留資格の取得を目的とする結婚が画策される可能性があります。外国人による結婚詐欺等に遭わないように、十分に注意してください。