注!
2024年(令和6年)6月10日より新しい入管法が施行され、この日以降は「仮放免許可」ではなく、「監理措置」が主に行われることになりました。なお、従来の仮放免許可を持っている人は、そのまま継続することができます。
監理措置とは何か?
監理措置とは、外国人が、本来ならば収容しなければならない外国人を、一定の条件を満たした人に限り、収容されないようにできる制度です。
そして、監理措置が決定すれば、不法滞在者であってもなお、あなたと一緒に暮らすことができます。
監理措置は、大きく分けて2つのケースに分かれます。
1. 違反調査中の監理措置
2. 退去強制令書後の監理措置
違反調査中の監理措置
監理措置決定申請を行い、監理措置が決定すれば、収容されない
入管は不法滞在が疑われる人に、入管の施設内に収容して調べるか、収容施設の外で生活をさせながら調べるか、どちらかを決めることができます。
そして、彼が違反調査を受けている間に、あなたが彼と一緒に暮らすことを望むならば、「彼を収容しないで、監理措置にしてください」と申請することができます。入管が認めれば、収容されることはありません。あなたと一緒に暮らすことができます。
監理措置決定申請と、提出資料について
監理措置決定申請書を行うためには、監理人を決めなければなりません。監理人は、個人でも法人でもなることができますが、その義務は非常に重たいものです。
あなたが彼の為に監理人になる!と決めた場合は、監理措置決定申請書を、外国人本人から提出してもらいます。
001419682.pdf (moj.go.jp) 第51条の3 監理措置決定申請書
001419683.pdf (moj.go.jp) 監理人承諾書兼誓約書
監理措置決定後の予定住居、関係者の連絡先、職業等
また、監理人になる人の収入や資産を証する資料、また、監理人と本人の関係を証明する資料等も、同時に提出します。
監理人(個人)についての提出資料
☑ 住民票
☑ 課税証明書、納税証明書
☑ 銀行残高証明書(又は、預金通帳原本と、その写し)
☑ 監理措置決定を希望する外国人との関係を説明する資料
外国人本人に関する資料
☑ 監理措置決定を希望する理由について書かれた資料
☑ これまでの収入を証明する書類
☑ 賃貸借契約書等、住居に関する書類
(賃貸借契約書に本人の名前がない場合は、同居人の住民票と、同居人の合意書)
☑ 監理人に支払う金額、内訳等が記載された契約書等
☑ 在学証明書(未成年又は在学中の場合)
監理人は、原則として彼と同居しているあなたがなるべきだと思います。彼がどのように生活しているのかを、一番良く分かっているのは、多分、あなただからです。
報酬を受ける活動の許可申請 (就労することを望む場合)
監理措置申請を行うときに、同時に退去強制令書が発布される前に限り、本人の生計を維持するために必要な範囲内で、就労先を決めて就労できる場合があります。
☑ 001419686.pdf (moj.go.jp) 第51号の8 報酬を受ける活動の許可申請書
☑ 勤務先に関する情報(雇用契約書や、労働条件通知書)
☑ 登記事項証明書
☑ 03.pdf (nta.go.jp) 所得税徴収残高計算書(直近3カ月、領収日付印があるもの)
☑ 本人の収入を証する資料
☑ 生計を一にする親族等の収入または資産についての資料
☑ 監理人からの援助の有無及びその額を証明する資料
☑ 住宅の賃貸借契約書の写し
☑ その他、参考となる資料
監理措置の決定と、定められた条件について
監理措置が決定したら、「監理措置決定通知書」が渡されます。
2FH00000073034.pdf (e-gov.go.jp) 監理措置決定通知書 (表、裏)
この通知書に書かれた条件(行動範囲や、出頭の義務、報酬を受ける活動の許可の有無)に従って、行動することが求められます。
- 住む場所と、行動範囲が決まっています (埼玉県内と、入管への経路など)
- 「入管に来てください」と言われたら、必ず行かなければなりません
- 保釈金を払います(逃げないように・・・。あとで返してもらえます)
- 3カ月以内ごとに、本人が入管に行き報告をします
- 3カ月以内ごとに、監理人に連絡をします
- 「監理措置決定書」をいつも持っていなければなりません。また、必要な場合は見せなければなりません。
この違反調査中の監理措置は、違反調査が始まってから退去強制令書が出るまでの期間です。また、「監理措置決定通知書」を持っていれば、警察などに不法滞在で逮捕されることはありません。
なお、報酬を受ける活動の許可がないのに就労した場合会社の経営を行った場合、定期の届出のために入管に行かなかった場合などは、刑事罰が科されます。気を付けましょう。
監理人の選任
監理人の選任と義務について
監理措置を決定するためには、必ず監理人が必要です。つまり、監理人がいなければ、監理措置もなくなります。(※1) そして、監理人は、以下の1から4について責任があります。
- 本人の生活状況を把握し、指導や監督をする
- 出頭日に必ず出頭させる。また、その他の条件を守らせる
- 住むところを確保し、必要な情報等を与える
- 本人が監理措置に違反した時や、許可なく不法就労を行っていることを知った時は、必ず入管に届出をしなければならない
- 監理人が死亡した時は、必ず届出を行う
監理人は、本人がどこにいて、何をしているか、きちんと把握し続けることが必要です。
また、監理人が4の届出等を行っていない場合や、虚偽の届出を行った場合は、10万円の過料が課されます。うーん、責任として、決して軽くはないですね。
※1 監理人を辞任する際には、あらかじめ主任審査官に届出することが必要です。そして、監理人が辞任し、別の監理人が用意できなかった場合は、監理措置が取り消されます。
監理措置の取り消しについて
監理措置の条件を守らない場合や、以下の場合には、監理措置を取り消されます。
☑ 逃亡した、又は逃亡するかもしれない
☑ 証拠隠滅した、又は証拠隠滅するかもしれない
☑ 監理措置条件の違反した(出頭しない、住居地に住んでいない等)
☑ 不法就労等
☑ 定期的な届出等をしなかった、又は虚偽の届出をした
☑ 監理人が辞任し、別の監理人が用意できなかった
監理措置が取り消されると、収容令書が発布され、収容されてしまいます。
この場合は、保証金も没収されます。
まあ、不法滞在かどうかの調査中なのでね。逃亡したり証拠隠滅したりしたら、非常に困ります。
監理措置の失効について
この監理措置は、違反調査期間中だけのものです。そして、違反調査が終わり、退去強制令書を発布した時に、(退去強制令書前の)監理措置は終わります。
なお、退去強制令書後に、本国に帰国するまでの間も、これとは異なる監理措置があります。
詳しくは、退去強制令書後の監理措置及び仮放免許可 をご覧ください。
(違反調査中の)出国命令及び在留特別許可申請について
違反調査中の監理措置期間中に、出国命令での帰国や在留特別許可申請が可能です。(監理措置決定申請とは、全く別の申請になります)
詳しくは、出国命令と不法残留 及び 在留特別許可を申請する をご覧ください。